好みのデザインを選んでください


ある日、一護はふいにノックなしに押入れを開けてしまうと、ルキアが着替え中だった。上半身は真っ白なジュニアブラ一枚のみ。
「うぉうっ?!!悪りぃ!!!」と真っ赤になって取り乱す一護とは逆にルキアは、
「気にするな。どうせ義骸だ。」と照れくさそうなものの至って冷静。その温度差が急に恥ずかしくなった一護は思わず叫んでしまう。
「て、てめぇの子供みたいなの見たってなんも思わねえよ!!」
実際は鼻血を出しそうなくらい興奮しているのだが、その慌てように気づかないほど、ルキアの頭には血がのぼる。
「なんだと貴様!!」
一護の顎にアッパー炸裂。



休日に郊外のショッピングモールにつれていけとルキアから連絡が入る。
ようやく外せた初心者マークで、父親の車に乗り込んで浦原商店までルキアを迎えにいく。
「貴様のために寝る間を惜しんで品揃えをリサーチしてきたのだ。ありがたく思え。」
俺のため…あ、講義でいい単位とれた褒美くれるとか?一護が問いかけるとそうではない、とのお返事。
「貴様が選べば好みのものだから文句もないだろう!さあ、好きなものを選べ一護!!」
「お、おう…って!!アホ!選べるか!!」
色とりどりのブラジャーが並ぶランジェリーショップの前で一護は頭を抱えましたとさ。



「だ、だいたい…選ぶって言ったって…」
ルキアの小柄な体躯に似合わない力は一護の腕をしっかり掴んでいる。周囲の女性の目線を気にしつつ一護は渋々店内をうろつく。
「服着てれば下着なんて関係ねえだろ…」
「何を言っておるのだ!この間子供のようだと怒鳴り散らしたことをもう忘れたのか?いや、もしかして値段を気にしておるのか?案ずるな、持ち合わせはある。それにいずれ服を脱がせるのは貴様…どうした一護?」
「勘弁して…。」



「わかったよ。選べばいいんだろ!」
「うん、わかればよい。」
満足そうに腕を組んで頷くルキア。真っ赤な顔で気持ち前かがみな一護。鈍感なルキアと違って神経質な一護は周囲の視線に耐えられなくなってきた。
「貴様の好みでよいぞ!」
「そーだな…じゃあ、こんなんどうだよ。」
ぽん、と渡されたそれにルキアは目を丸くし、次第にその顔が赤くなる。怒りで。
「・・・・たわけ!私をからかうのかーー!!」
頭に被ってしまうくらい大きなカップの下着を持ちルキアは一護の足を思い切り踏んづけた。



グラマラスなブラジャーを戻し、一護は疑問を覚えた。これは、ルキアの最も触れてはいけないことだが、選ぶ以上は知らなくてはならない。
「なあ、下着って色々サイズとかあるんだろ?いくらいいデザインのがあっても大きさ合わなきゃ意味ねーだろ。サイズ絞ってから選ぼうぜ。」
「…お、おお、そうだな、うん」
ルキアの目線が泳ぐ。
「で?てめーのサイズはどれなんだよ、ルキア?」
「ええと…そ、その…うん。え…65…の、A…。」
耐えきれず吹き出した一護の脛にルキアのまわし蹴りがヒット。

上下お揃いで2組ほど選び、試着室にルキアが入ったのを見届けて一護は猛ダッシュで店を出る。
男子禁制なんて看板は掲げられていないが、ほかの女性客は選びづらだろうし居心地が悪い。妻や彼女の買い物を待つほかの男性陣に混じって外のベンチに腰を下ろす。
(それにしても)
貧乳を気にするルキア、ちょっと可愛かった。
もうちょっと自分に理性の余裕ができるくらい大人になったら、愛で育ててやろう。そんなに大人になれるかは、わからないけど。
…一生無理な気もするけど。



「どうだ!一護!」
あとは寝るだけになった夜分遅く、突然押入れが開かれた。一護は爪を切りながらなんだと目をやると、目線の先のルキアの姿に驚き思わず深爪した。
「いってぇ!!…て、てめえ何を…痛え!」
「狼狽えすぎだ、莫迦者。」
バカはどっちだアホ!ちょっと照れたような顔をするな!
一護が選んだ所謂“ふつう”の、フリルのついた白いブラを身につけたルキアは、仁王立ちで一護を見下ろす。
「貴様の選んだ下着だ。もう子供っぽいなどとは…」
「言わん!だから隠せーーー!」
大声を出した一護はその後こっぴどく双子に叱られた。

「折角だからもう片方の橙色のも…」
「結構です!!」


おわり

20150111

twitlongerへ投稿していたものを、サイト掲載に伴い加筆修正しました。
ルキアのアンダーは65よりも細い気がする・・・。